地味だと思ってた『Webアクセシビリティ対応』が、実は全人類に恩恵をもたらすチート級能力『カーブカット効果』だった件

目次
「またアクセシビリティかよ…」と、ため息をついていませんか?
正直、アクセシビリティ対応って面倒だな、と感じたことはありませんか?
「やれと言われるからやっているけど、正直手間が増えるだけだし、なんだか“義務”とか“お役所仕事”みたいで気が乗らない…」
そんな気持ち、すごくよく分かります!
「障害のある人のため」――もちろん大切なことだって、頭では分かっている。
でも、普段の生活に本当に必要なのかといえば、どこか他人事のように思えたり、正直ピンと来ないこともあるはずです。
もしかしたら、「自分には関係ない」と、どこかで少し距離を感じているかもしれません。
けれど、そんなあなたにこそ知ってほしいのが、“カーブカット効果”――このちょっとした気づきが、きっとあなたの見方を変えてくれるはずです。
これが“カーブカット効果”――配慮は、必ず“みんな”に還元される
カーブカット効果(Curb-Cut Effect)
1975年、米シアトルの街角に設置された車椅子用スロープ(歩道の縁石を低くした「カーブカット」)。車椅子利用者が段差のない横断歩道をスムーズに渡っている様子。
歩道と車道の段差を滑らかに繋ぐ「カーブカット」は、本来は車椅子ユーザーのために作られたものです。しかし、そのスロープのおかげで車椅子以外の人々も恩恵を受けています。ベビーカーを押す親御さんや重い荷物を運ぶ配達員、足腰が弱く段差でつまずきやすい高齢者にとっても、段差のない道は安全で便利ですよね。特定の人のために設計したものが結果的に社会のより広い人々を助ける――これがカーブカット効果と呼ばれる現象ですWikipedia。
スロープは、車椅子の人のために作ったものだけど、
-
ベビーカーを押す親子
-
キャリーケースを引く旅行者
-
自転車に乗る学生
-
大きな荷物を抱える配達員
みんなが、その“ちょっとした配慮”のおかげで、助けられています。
この効果は、都市や街づくりだけじゃなく、Webの世界でも、まったく同じ現象が起きています。
Webアクセシビリティは、実はあなたにも役立つ“カーブカット効果”の宝庫
アクセシビリティ対応って「誰かのための面倒な義務」と感じていませんか?
けれど、少し視点を変えてみてください。
Webアクセシビリティの工夫は、想像以上に多くの人を助けています。
もしかしたら、あなた自身もすでに恩恵を受けているかもしれません。
たとえば――
-
画像の代替テキスト(alt属性)
これは視覚障害者だけのためではありません。画像が表示されない場面や、ネットが遅いとき、そしてSEO(検索エンジンで上位に表示される)にも重要な役割を果たします。 -
キーボード操作への対応
一時的にマウスが使えないときや、片手がふさがっているとき、体調が悪いときなど、誰でもこの恩恵を受ける瞬間があります。 -
動画の字幕(クローズドキャプション)
これは聴覚障害者のためだけではありません。電車やカフェなど音を出せない場所、外国語を学習するとき、家族が寝ている夜中に動画を観るとき――さまざまな場面で“普通に便利”です。 -
十分な色のコントラストやフォントサイズの配慮
視力に不安がある人だけではなく、強い日差しの下でスマホを使うとき、あるいは仕事で目が疲れた夜など、誰もが「見やすくて助かる」と感じるものです。
アクセシビリティへの配慮は、
「自分には関係ない」と思っていたはずのあなたにも、知らず知らずのうちに大きなメリットをもたらしています。
“面倒な義務”に見えていたアクセシビリティが、気づいたら「いまの自分」「これからの自分」も救ってくれる。
そんな“ちょっと先を見据えた魔法の工夫”だとしたら、その見方、少し変わりませんか?
“義務”じゃなく“みんなのため”のアクセシビリティへ
「正直、アクセシビリティって“やらされてる感”がある…」
そんなふうに思う方もきっと多いでしょう。
でも、ほんの少し視点を変えてみてください。
アクセシビリティ対応は、決して“誰かのためだけ”の特別な仕事じゃありません。
「将来の自分」「家族」「友人」、そして「今は何も困っていないすべての人」のために、ちょっと手をかけて、少しだけ優しい設計をすること。
それこそが、これからのWebづくりやサービスづくりで、いちばん誇れる“かっこいい仕事”なんだと思います。
小さな配慮が、世界をまるごとハッピーにする
カーブカット効果は、
「ほんの少しの思いやりが、みんなを助ける大きな力になる」ことを教えてくれる。
アクセシビリティ対応はもう、地味な義務じゃない。
それは全人類をハッピーにする、最強のチート能力だ。
アクセシビリティ改善は一度にすべてを完璧にやる必要はありません。
まずは以下のような取り組みから着手してみてはいかがでしょうか。
-
画像に適切な代替テキストを付ける
サイト内のすべての画像に、内容を説明するaltテキストを設定してみましょう。特にリンクや重要な情報を含む画像には欠かせません。 -
キーボードだけで操作できるかテストする
マウスを使わずTabキーなどで自サイトを巡回してみて、メニューやボタンにフォーカス移動できるか確認してみましょう。もし操作できない部分があれば、キーボード対応を検討するサインです。 -
動画に字幕やテキスト説明を用意する
自社サイトやサービスで動画コンテンツを提供しているなら、字幕ファイルを用意したり、要点をテキストで併記したりしてみましょう。そうすることで視聴者は状況を選ばず内容を理解できます。 -
色のコントラスト比を確認する
デザインの配色を見直し、文字と背景のコントラストが十分かチェックしてみましょう。専門のチェックツールも無料で公開されているので活用すると便利です。コントラストを改善すれば読みやすさが向上し、ユーザーの離脱を防ぐ効果も期待できます。
いかがでしょうか。最初の一歩は決して難しいものではありません。
大切なのは「すべてのユーザーにとって使いやすいWebにしよう」という視点を持ち、できることから実践することです。
今は何も困っていない自分も、みーんなでこの“やさしいチート”の恩恵を受けて、今日も笑顔でWebの世界を歩いていきましょう!
さいごに
「アクセシビリティ」という言葉を、あなたはどれくらい身近に感じていますか?
正直、少し前までの自分はアクセシビリティの“アの字”どころか、その存在すら知りませんでした。
そんな私に転機が訪れたのは、あるプロジェクトへの参加がきっかけでした。
チームで何度も議論し、手探りで進めるうちに、「どうしてこんな面倒なルールが必要なんだろう?」
「誰のための配慮なんだろう?」
そんな疑問が少しずつ“気づき”に変わっていきました。
アクセシビリティというものが「誰かだけのもの」でも、「義務感だけでやるもの」でもなく、実は自分自身のためにもあるんだ――そう実感できるきっかけになりました。
「カーブカット効果」を通して、アクセシビリティの価値について少しでも共有できれば幸いです。