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ソフトウェアテストに関する国際的な資格認定制度「JSTQB」を調べた

はじめに

近年、ソフトウェア開発の信頼性向上が重要視されています。高品質なソフトウェアを提供するためには、適切なテストが欠かせません。加えて、技術者がキャリアアップを図るための手段として、専門的な資格を持つことが有効です。

それらの理由から、今回はソフトウェア品質向上と技術者のスキル証明のための国際的な認定資格であるJSTQB資格を調べてみました。

JSTQBとは?

JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)は、ソフトウェアテストの国際資格認定を行うISTQB(International Software Testing Qualifications Board)の日本版委員会です。

ソフトウェアテストに関する国際的な資格認定制度「JSTQB」は、ソフトウェアエンジニアリングの一領域として重要な位置づけを持っており、
この資格制度は、ソフトウェアテストの専門知識を持つ技術者を育成し、キャリア形成をサポートするために設けられています。

JSTQBの目的

JSTQBの主な目的は以下の通り。

テスト技術者のキャリア形成の基準提供

テスト技術者としてのキャリアを積む上での基準を明確にし、専門性の高い職業としての認識を広めること。

国際的な知識基準の確立

国際的に通用する知識基準を設定し、多国籍プロジェクトでの共通認識を確立すること。

ソフトウェア品質の向上

テスト技術者の知識とスキルを向上させることで、ソフトウェアの品質を高め、故障リスクを低減させること。

JSTQBの資格の種類

Foundation Level(FL

ソフトウェアテストに全般に対する基礎的な知識を問う試験です。

ソフトウェアテストの計画、評価・検証、進捗管理など、テストエンジニアとしての基礎的なレベルの技術を有していることの証明になります。

– 出題範囲

第 1 章:テストの基礎

第 2 章:ソフトウェア開発ライフサイクル全体を通してのテスト

第 3 章:静的テスト

第 4 章:テスト技法と設計

第 5 章:テスト活動のマネジメント

第 6 章:テストツール

Advanced Level(テストマネージャ)

テスト進捗やチームの管理、プロセスの改善、テスト戦略の策定といったマネジメント面の専門知識・スキルを証明できます。

テストマネジメント、欠陥マネジメント、テストプロセスの改善などが出題範囲となっています。

– 出題範囲

第 1 章:テストプロセス

第 2 章:テストマネジメント

第 3 章:レビュー

第 4 章:欠陥マネジメント

第 5 章:テストプロセスの改善

第 6 章:テストツール及び自動化

第 7 章:スタッフのスキルアップ構成

Advanced Level(テストアナリスト)

専門的なテストの設計・実装・実行、適切なテストの選択、テストに関する分析を行う専門知識・スキルを証明できます。

テスト設計、分析、テスト技法(主にブラックボックス)、品質特性などが出題範囲となっています。

– 出題範囲

第 1 章:テストプロセスにおけるテストアナリストのタスク

第 2 章:リスクベーステストにおけるテストアナリストのタスク

第 3 章:テスト技法

第 4 章:ソフトウェア品質特性のテスト

第 5 章:レビュー

6 章:テストツール及び自動化

 

JSTQBで得られる知識

以下のようなソフトウェアテスト全般にわたる知識を習得し、より高品質なソフトウェアテストを効率的に実施するための基盤を確立することが期待できます。

 

ソフトウェアテストの概念理解

ソフトウェアテストの基本的な目的や定義、テストとデバッグの違い、テストがソフトウェア開発プロセスにおいて果たす役割について理解を深めることができる。

ソフトウェア開発ライフサイクルの理解

ソフトウェア開発ライフサイクルの異なるモデルを理解し、それぞれの特徴とテストアプローチの違いを学ぶことができる。

効率的なテスト実行

様々なテスト技法(ブラックボックステスト、ホワイトボックステスト、経験ベースのテスト技法など)を学び、それぞれの適用方法や利点を理解することで、実際のテストにおいて適切な技法を選択し、効率的にテストを実行するスキルを向上させることができる。

テストマネジメントスキルの向上

テスト計画の立案、テスト実行のスケジューリング、テストのモニタリングおよびコントロール、リスクベースドテストの採用など、テストマネジメントに関して具体的な手法や考え方を学ぶことができる。

ツールの効果的な導入と活用

テストツール(テスト実行ツール、テストマネジメントツールなど)の選択および導入におけるプロセスや成功要因を学ぶことで、実際のプロジェクトにおいて効果的にツールを活用できるスキルを身につけることができる。

心理的要素の考慮

テスト活動における心理的要素や、開発担当者とテスト担当者のマインドセットの違いを理解することで、チーム内のコミュニケーションを円滑にし、協力しやすい環境を構築するスキルを向上させることができる。

形式的レビューの実施方法

作業成果物のレビューの実施方法や、レビューによる欠陥検出の技法を学ぶことで、作業成果物の品質を向上させることができる。

JSTQB資格の取得によるメリット

JSTQB資格を取得することにより、以下のようなメリットがあります。

1. 人材育成に活用できる

JSTQB認定テスト技術者資格は、人事制度とリンクさせることで、人材育成を図るためのツールとして活用できる。

資格取得の過程で得た知識や技術は、テストエンジニアやQAエンジニアとしてのスキルアップに直結し、キャリアアップのための貴重な手段となり、チームの成長にもつながる。

2. 社外にソフトウェアテスト技術をアピールできる

社員がJSTQB認定テスト技術者資格を取得していることをアピールすることで、会社の信頼性と技術力を外部に示すことができる。

3. テスト活動におけるスタンダードを把握できる

資格を取得することで、ソフトウェアテストの標準的な方法を学べます。これにより、問題が発生したときにどのように対処すべきかがわかりやすくなる。

4. テスト業界の共通言語を使用できる

テスト業界で使用される共通言語を学習することができる。

これにより、社内外でのコミュニケーションが円滑になり、共同作業や情報共有がスムーズに行うことができるようになる。

まとめ

JSTQB 認定テスト技術者資格は、国際的に認められた資格であり、ソフトウェアの信頼性を確保するために重要な位置づけにあります。

この資格を取得することで、テストに関する体系的な知識を整理し深めることができます。

特に、Advancedレベルの資格は、トップエンジニアとしての証明となり、プロフェッショナルとしての信頼性を高めることができるようです。

高いスキルを持つエンジニアがいることは、業界内での信頼を築くための大きな武器となり、資格取得者の存在は、顧客やパートナーに対しても安心感を与え、結果としてビジネスのスムーズな運営に繋がります。

JSTQB認定テスト技術者資格を通じて、ソフトウェアテストに関する知識を身につけ、成長を目指しましょう。


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