アフターマーケットに向けた新製品開発、
PoC〜製品リリースまでの取り組み
電子開発本部 電子技術部
天池様 永田様
開発背景と “ActRide” で実現したい価値とは?

天池様:当社は大手自動車メーカー向けにサスペンションやショックアブソーバーを製造しています。ご承知の通りEVの普及により車の電子化が加速し、業界を取り巻く環境は大きく変わりました。そこで、まずはアフターマーケット向けに何かしら電子制御を使ったユニークな製品を開発したいとの想いではじまったのが “ActRide” でした。以前より高級車には搭載されている電子制御サスペンション。路面の状況に応じてダンパーの減衰力を調整して快適性と操縦安定性を両立させるものですが、高級車以外のクルマでも同様の乗り心地を体感いただけるのが “ActRide” です。
特徴は、6つの減衰力設定を登録できてドライブシーンに合わせてお好みのモードに切り替えられること。あらかじめ「Comfort(コンフォート)」「Normal(ノーマル)」「Sport(スポーツ)」の3つが設定されているほか、自分で定めた減衰力や制御に関する設定値を保存できる「Custom(カスタム)」が3つ用意されています。他にも「オートモード」も搭載していて、自動で快適な乗り心地になるよう制御します。
これらの操作をBluetooth経由でスマホのアプリでできる。これが “ActRide” で提供したかった価値。手軽に乗り心地を変えられることで、より多くの人に安心・安全をお届けしたい。もっとドライブを楽しんで欲しい。そんな想いが “ActRide” には込められています。
三恵クリエスとの開発はいかがでしたか?
天池様:私はPoC(仮説検証)からなので3年くらいのお付き合いになります。PoCの開発は役員へのプレゼンまであまり時間がなく、とてもタイトなスケジュールの中、三恵クリエスさんにはご協力いただきました。ざっくりとしたアイデアを当社からお渡しし、1週間後のミーティング時には洗練されたUI・UXが提案されてとても驚かされました。
そこから製品化に向けて動きだすわけですが、実はこのタイミングで他社様にも相見積もりを取ったことを覚えています。時間をかけて開発するため、他も見てみたかったのです。ただ、何社か提案してもらいましたがやはり三恵クリエスさんが当社にはとても魅力的で。継続してパートナーとして共に開発していただくことになりました。
選定のポイントは、高い技術力と洗練されたUI・UXの設計力にあると思います。ただ、私の中では他にもスゴいと思うことがありまして。定例で行っているミーティングがあるのですが、進行やお話がとてもお上手で。冒頭で本日の内容をアジェンダにまとめてくれているのですが、細かく時間配分が記載されていてその通りに進行していく。毎回、建設的で意味のあるミーティングになっていて社内にも浸透させたいと思っています。
永田様:私は2025年に入社してそこから開発メンバーに加わりました。製品化に向けて追い込みをかけているタイミングからのスタートでしたのでかなりの頻度で三恵クリエスさんとやり取りさせてもらいました。アプリ開発の経験もなく当社の製品やプロジェクトの概要を理解するところからでしたので、とにかく大変でした。
ただ、アプリのリリースに向けてやることは明確になっていたのでその点はやりやすかったです。開発環境を当社にも構築して自分たちであれこれ触ってみる。分からないことやアイデアをカタチにしてすぐにフィードバックをもらう。そんなやり取りを繰り返し精度を上げていきました。その中で『やりたいこととできることのバランスを取るのが大事です』と教えてもらったことが印象的でした。
あと、レスポンスがとにかく早く気軽に相談できた点はとても心強かったです。アプリをストアに公開するため証明書を更新する必要がありまして。私が担当することになったのですがうまくいかず、三恵クリエスさんに相談するとその場で画面共有して一緒に作業してくれました。急な相談でも即座に応えてくれて、何度も助けていただきました。
今後の展望やありたい姿はありますか?

天池様:試乗会やジャーナリスト向けの説明会、東京オートサロンでの反響は好評。その甲斐もあって売れ行きはとても好調です。ただ、今はまだ実際に利用されたお客様の声が届くのはもう少し先になるのかなと、どんな声が寄せられるのか期待もありドキドキしています。いただいた声には真摯に向き合い今後の製品開発に活かしていきたいです。
現段階では対応車種が限られているので増やしていくのも課題。あと、多言語対応。日本国内に留まらず世界のマーケットも視野に入れているので順次、取り組んでいきます。アプリを通じた製品体験の向上も目指していきたいところ。そのためにも三恵クリエスさんには開発・保守の両面で継続的なサポートをお願いしたいです。
永田様:今回 “ActRide” を通じてアプリ開発を体験させていただきました。学生時代、C++やJavaScriptを使ってプログラミングをしたことはありましたがアプリの開発に関わるのははじめてのことで。iOSとAndroidに対応したアプリをつくる貴重な体験ができました。これは私個人の話だけでなく、当社にとってもです。この体験を次に活かして “ActRide” に続く製品をリリースしていきたいです。
いずれは内製である程度の開発ができるようになりたいですが、それはまだ先のこと。“ActRide” のアップデート、新製品の開発、内製化に向けて技術力の向上など。やりたいこと、やるべきことが幾つかあります。そのためにも三恵クリエスさんにはこれまで同様、同じ目標に向かうパートナーとしてサポートしていただきたいです。

三恵クリエスにご発注いただき、ありがとうございました!
リリース前後の約3ヶ月の開発フェーズから、リリース後の保守までプロジェクトに参画させていただいています。
私自身の開発者としての本格的な関与は終盤からでしたが、最初期のプリセールス段階でも関わらせていただき、概要をうかがっていました。構想段階から当社が関わってきたこのプロジェクトが無事リリースまで形になっていく過程を見届けられたことに個人的な感慨もひとしおでした。
本プロジェクトでは、開発フェーズや規模に応じて最適な体制を柔軟に構築しながら進行してきました。その結果、安定した品質を維持しつつ、効率的なプロジェクト運営を実現できたと感じています。こうした体制は、特定の個人に依存しない仕組みが確立されていることの表れであり、プロジェクトが健全かつ理想的な状態で推進されている証だと考えています。
このような環境は、私たちだけで作り上げられるものではなく、カヤバ様との密なコミュニケーションと信頼関係があってこそ実現できるものです。案件のヒアリングからPoC版開発、そして製品版開発に至るまで、カヤバ様と私たち三恵クリエスが積み重ねてきた対話と協力の成果が、本プロジェクトに結実していると感じました。 今後も、保守や追加開発といった形でプロジェクトに継続的に関わりながら、さらなる価値創出と発展に貢献していきたいと考えています。
(担当:三恵クリエス 石川)