マルチモジュール構成で開発してみた

はじめに
モバイルアプリ開発において、プロジェクトの規模が大きくなるにつれて、コードの管理や開発効率の維持が課題となってきます。この課題に対する効果的なソリューションとして「マルチモジュールアーキテクチャ」が注目されています。
マルチモジュールとは
マルチモジュールは、アプリケーションの機能を複数の独立したモジュールに分割する設計手法です。近年、Google の now in android や droid会議2023でも採用され、モダンなアプリ開発のベストプラクティスとして認識されています。
従来の構成との違い
# 従来の構成
app/
└── src/
└── main/
└── java/
└── com.xxx.yyy/
# マルチモジュール構成
├── app/
├── data/
├── feature/
└── core/
マルチモジュール化のメリット
1. ビルドパフォーマンスの向上
- モジュール単位での並列ビルドが可能
- ビルド時間が最大50%程度削減可能
- Jetpack Composeのプレビュー表示が高速化
2. 責務の明確な分離
- 機能単位でのモジュール化
- 疎結合なアーキテクチャの実現
- テスタビリティの向上
3. 実装の制御
- モジュール間の依存関係の明確化
- 不適切な実装パターンの防止
- 循環参照の早期発見
実践的なモジュール構成例
├── app/ # アプリケーションのエントリーポイント
├── feature/
│ ├── home/ # ホーム画面機能
│ └── settings/ # 設定画面機能
├── core/
│ ├── designsystem/ # テーマ定義
│ ├── data/ # データ層
│ ├── network/ # ネットワーク通信
│ └── ui/ # UIコンポーネント
└── build-logic/ # ビルドロジック
注意点とデメリット
1. モジュール設計の複雑さ
- 適切な粒度でのモジュール分割が必要
- 循環参照を避けるための慎重な設計
- 抽象化レベルの上昇による学習コストの増加
2. リソース要件
- ビルド時のメモリ消費量の増加
- Android Studio での OOM(Out of Memory)の可能性
まとめ
マルチモジュールアーキテクチャは、大規模プロジェクトにおいて特に効果を発揮する設計パターンです。ただし、導入に際しては十分な検討と計画が必要です。特に既存プロジェクトへの導入は慎重に判断すべきでしょう。
また、iOSでもマルチモジュールアーキテクチャをSwiftPM(Swift Package Manage)を利用することで実現できるので検討することをおすすめします。
参考
Android アプリのモジュール化のガイド
https://developer.android.com/topic/modularization?hl=ja
小さなチームでマルチモジュール開発をしてみた話
https://tech.timee.co.jp/entry/2021/11/01/120054
【Android】マルチモジュールって何?
https://qiita.com/mi_iroha/items/25ba51e0772c4aaf71e1
doroidkaigi 2023
https://github.com/DroidKaigi/conference-app-2023
Androidのマルチモジュール化対応とその効果(auサービスToday)
https://tech.gunosy.io/entry/android_multi_module_st
【iOS】新規プロジェクトにSPMマルチモジュールを採用する際の手順書
https://qiita.com/Soccerboy_Hamada/items/50570c7ad937fc9a5281